タイプデザインコンペティション

フォントを作ろう第2回-イラストレーターで超簡単に日本語フォント

Posted on 2012-04-07

フォントスキャン
イラストレーターを立ち上げて、手書きした文字をスキャンした画像を貼り付けるます。これをペンツールで描きます。


ラインツール

実はこの作業の前にやることがあります。正方形を描くことです。日本語フォントは基本的に正方形の中にデザインされているのです。
そのガイドになる正方形を予め描いておく必要があります。なので任意の大きさの正方形を描いてください。この正方形で「表示」-「ガイド」-「ガイドを作成」でガイドにします。そのガイドの中に描くとこんな感じになります。

フォント正方形
どんどんイラストレーターの線だけで文字を描いていきます。前回でも言いましたが複雑な図形が描けなくてもペンツールだけでもフォントは作れます。ちゃんと正方形のガイドの中に線だけの文字を描けていますか?楽するテクニックとしては、とりあえず同じ線幅で描いて、「し」や「つ」などの画数の少ない文字はやや太い線、逆に画数の多い文字はやや細い線にするなどバランスをとると全体のバランスが綺麗です。慣れてくれば効率的に作業が行えるようになると思います。全部の文字を描くとこんな感じになります。(ガイドは消しています)
fontpentool

だいぶフォントっぽくなってきましたね。文字はまだペンツールで書いたままで、このままではフォントグラファーにコピー&ペーストできないのでラインを「オブジェクト」→「パス」→「パスのアウトライン」を実行します。

fontoutline

この次の作業が文字作りのキモです。このアウトライン化されたパスの微調整を行います。
1.横線と縦線の関係の修正
普通は錯視を修正するために横の線を細く、縦線を太くします(わずかにです)
2.線と線がぶつかる所の修正
普通は線と線がぶつかるは黒みがたまって見えてしまいますので、自然に見せるために
ちょっと線を細くしてスッキリさせます。
ここらへんの知識は一般的なフォントの本にも詳しく書いてあります。楽をしたければオブジェクトの拡大縮小でやってしまうのも無しではないです。(例えばアウトライン化せずに101%縦に伸ばして、アウトライン化して99%縦のみ縮小するとか)

フォント修正
こういう調整はフォントの種類やコンセプトによって違うので、どういう風に処理するかはセンスだと思います。私の場合は本文体というよりも見出しやテロップでの表示をイメージしていることが多いです。実際にフォントをよく見て研究してみると良いとお思います。パソコンにお手本のフォントは入っているのですから。楽するテクニックとしては、目を細めてみて黒みが強い部分が気になったらそこを修正しましょう。あとプリントアウトしてみると客観視できたりします。
フォント修正後
文字の微調整が終わったらパスファインダでパスの合体を実行後に拡張し1つのオブジェクトにします。パスが閉じた一つのオブジェクトにしておくことがとても重要です。正方形のガイドの上下左右の幅の十字を描きます。これはFontographerにペーストする時、グリフの大きさに自動的にフィットするので、文字の大きさを統一するための処理です。この点はあいかわらずFontographerで良くないポイントで、FontlabStudioの方が便利ですね。
フォント十字jyuuji
フォントも完成に近い付いてきました。次回はフォントグラファーへ文字をペーストしていく作業に入ります。

 

タイプデザインコンペティション2012に応募しよう

Posted on 2012-03-21

タイプデザインコンペティション 2012

モリサワが次世代を担うタイプデザイナーの登場と
いっそう豊かな文字表現の可能性を期待し
タイプデザインコンペティション 2012を開催します。
上の画像のようなエントリーシートで作品を送ります。
これは「やさしさゴシック」でレイアウトしてみましたが
作品は未公開のものが条件なのでご注意を。

新たに開始するタイプデザインコンペティション
独創性や審美性を追究した新しいタイプフェイスの提案を募集するほか
素晴らしい作品をス ピーディに利用していただけるよう
モリサワから製品としてリリースすることを前提とした賞が設けられています。

  • 応募期間:2012年7月2日 〜 9月30日
  • モリサワ賞 和文部門・欧文部門:副賞100万円
  • 明石賞 和文部門・欧文部門:副賞100万円

今時らしい企画としては作品の一部を一般公開して競う「ファン投票」も行います。
これはFaceBookとかでやるのかな?
近年は本当にタイプフェイスのコンペが無くて寂しかったので楽しみです。

また明石賞は製品化の場合1000万円なので学生の人は
親に学費の恩返しができるのではないでしょうか。

ちなみに審査員は以下の方々です。

●審査員(50音順)
[和文部門]
小塚 昌彦 Masahiko Kozuka(タイプデザインディレクター)
鳥海 修 Osamu Torinoumi(タイプデザイナー)
永原 康史 Yasuhito Nagahara(グラフィックデザイナー)
原 研哉 Kenya Hara(デザイナー)
森澤 典久 Tsunehisa Morisawa(モリサワ文研株式会社 社長)

[欧文部門]
小林 章 Akira Kobayashi(タイプデザイナー)
サイラス・ハイスミス Cyrus Highsmith(タイプデザイナー)
サラ・ソスコルン Sara Soskolne(デザイナー)
マシュー・カーター Matthew Carter(タイプデザイナー)

またこのブログでは応援企画として、フォントができるまでの経過を
Illustrator、Fontograper、TypeLabStudio、OTEditなどを使い解説していきます。
原稿はほぼできているので、お楽しみを。